福岡県市民教育賞

一般社団法人 地域企業連合会 九州連携機構

地域社会教育賞 受賞

福岡県和ごま競技普及協会 会長 藤田  弘毅 氏

青少年アンビシャス運動の企画段階から関わる

 県庁在職当時、麻生渡福岡県知事に「青少年問題に取り組む県民運動を起こしたい。それを担当してもらいたい。」と言われたのが青少年育成活動に関わることになったきっかけです。当時の青少年問題は、いじめ、不登校、引きこもり、少年犯罪、規範意識の低下、指示待ち族、優秀だけれども何か足りない若者など言われていました。県民運動を始めるにあたり江崎玲於奈氏などの有識者の意見を聞き、県民による100人委員会をつくり議論を重ねました。青少年問題の原因はいろいろあるが昔あった子ども社会の崩壊による遊びの欠如が大きな一因であるとの指摘がありました。私もそれだと思い地域に昔あった子ども社会を再生させる広場をつくることを提案しました。この広場は「アンビシャス広場」と名付けられ福岡県青少年アンビシャス運動の中核的な活動となりました。2001年アンビシャス運動はスタートしました。アンビシャス広場初年度は62か所開かれました。私自身も県職員でありながら地元の知人に協力してもらい自分で開くことにしました。

「和ごま」を使い昔あった子ども社会の再生に挑戦

 2001年7月に国分アンビシャス広場を開設し、子ども社会の再生に向けた取り組みを始めました。2002年には県庁を退職しましたがこの広場は続けました。広場では最初の2年間は、子どもたちを集めるために外国人による講座、工作教室、自然観察教室、お化け屋敷など子どもたちに役立つような取り組みをしました。その後で自由に遊ばせながら異年齢の子ども社会をつくるように仕向けましたが全然できませんでした。子どもたちは自分たちで社会をつくるよりは大人に遊んでもらうことを期待しているのです。子ども社会を再生させるためには大きい子から小さい子までが一緒に遊ぶ「遊び」が必要なのですがそれがなかなか見つかりませんでした。いろんな遊びを試す中で「和ごま」が共通の遊びになるのではと思い取り入れました。はじめは苦労しないと回らない「和ごま」は子どもたちに不人気でしたが少しずつコマの好きな子が増えてゆきました。そしてコマでで幼稚園児から高学年まで一緒に遊ぶようになりました。しかし、子ども社会にはリーダーとなるガキ大将が必要です。

自立心を育む子ども社会

 ガキ大将をつくるために「ちびっこ指導員」の認定試験を始めました。難しい試験ですが次々に受験する子が増え、現在までに太宰府市以外も含め70名近くが合格しています。コマのステータスを上げるために和ごま競技普及協会を設立し太宰府天満宮で和ごま競技大会を開きました。その結果、国分アンビシャス広場では子どもたちがコマというツールを使った子ども社会ができました。今では、多いときは50人の子どもたちが集まり「ちびっこ指導員」を中心に「けんかごま」をしています。子ども社会は大人は何もしなくて子どもたちが自身の意思で集まり、自分の考えで遊び、いろんな問題も自分で解決する自立心を育む場であります。12年続け、広場にはまった子どもたちが高校生、社会人になっています。努力しないと上手くなれない、友達に勝てない「和ごま」と自立心を育む子ども社会は人間として必要な基礎力を身につけるのに役立っているようです。
今回、12年続けた活動の記録「消えた子ども社会の再生を」出版しました。

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福岡県和ごま競技普及協会 会長
藤田  弘毅 氏

1943年福岡県八女市生。大学卒業後福岡県庁に入庁、2002年生活労働部長を最後に退職。その後、福岡県立勤労文化センター(ももちパレス)館長、(株)久留米リサーチパーク代表取締役を歴任。現在、県庁在職時代2001年に始めた国分アンビシャス広場で子ども社会の再生に向けた取り組みを続けている。2003年には子ども社会を再生させるためのツールとして使う和ごまの普及のため福岡県和ごま競技普及協会設立し、現在、会長を務める。