会長あいさつ

 私たちはどんな時代と対峠するのか。博報堂生活総研は「総子化」というキーワードをイメージングコピーとして打出しました。私達がよく使う「化」は“バケル”という意味で「化学」の事を“バケ学”と言ってきました。親の長寿化で親子共存年数が何と60年にも達し、人生の2/3以上の間、親子が“共生”するという。しかもなんとその総人口が成人子供だけでも6,400万人にも達し、わが国の人口の半分を占めると言います。まさに“バケル”つまり“大変化が起きる”訳です。その大変化と向きあい常に時代の変化を経営に活かす企業が生き残るということであります。ここで大事なことは、「高齢化」という概念では見えてこない現象が「長寿化」という視点で見ると、様々な行動の変化が見えてきます。その象徴的事象がJR九州のあの“ななつ星”戦略ではなかろうかと思います。長寿社会はその出現によって、今迄に無い健康的で豊かで知的で責極性のある、しかも、現役世代ではおろそかにしがちな人間関係を大切にする、いわゆる“新(真)世代”が誕生したのです。この“新(真)世代”の人口増によって引き起こされる変化に私達が目をそむけては何も見えてこない。家族関係では三世代で生活の支え合いからレジャーまでが1親族1チームとなり、脱“核”家族化していき、「異世代家族」というチーム力で自立自助がはかられます。
一方では、財政難によってくに国家とか自治体への過度な依存ができなくなる今日、親子親類、あるいは、生活基盤としての地域、そして、ボランティアやNPOや文化教養など価値観の伝承を共有できるチームがそれぞれに拠点化し、社会におけるより重要な役割を自ら確立していきます。そういう意味では、社会への過度な依存意識が小さくなり“実力相応”に自立していくことでしょう。生きることの“自然体”がここにある。人間として“自分を守る”本能的行動が明らかになる。この“相応”な関係を築くことが大事な今、過度な助成や支援はその本質の“自立と互助”を変質させてしまう。社会や行政の保護政策などの作為的なものと人間として本来持ち有る生存力的なものの際(きわ)、境い目が浮きあがってきて“せめぎ合い”が働くようになることが健全な社会であると思います。今、政治や行政が向きあうべき“官と民”の領域の見直しや再構築も時代の変化を直視しながら常に“せめぎあい”の緊張感を保つことこそ必要なことではないだろうかと思う昨今です。

 さて、産業振興協議会も今年で設立33年目に入ります。「30」を漢数字では「丗」と書きます。つまり、「世」と同じであります。そう考えると、一世代は30年を基本としています。「次世代に繋(つな)ぐ。」この繋ぐ行為こそ私たちに課せられた普遍の責務ではないでしょうか。
この産振協の世代交替をめざす今年は、組織について、いろんな角度から見つめ直す機会となりました。その一つは、組織がカバーするエリアの大小は、その存在価値の優劣ではなく、主張する課題、果すべき役割の違いであることでありました。例えば、産振協の重要な役割の一つである福岡と北九州の地域連携、いわゆる“福北交流”として今年25年迎えますが、これは、産振協が福岡を中心とした組織であったからこそ、福岡の熱い思いを率直に北九州に呼びかけて今日まで続けてこれたのではないかと考えます。産振協が福岡の地域性を背景として主張できるのは「福岡」という拠点性を持つ組織であるが故であります。そういう意味でも組織運営にあたって、私たちは、常に、福岡のステージ、九州のステージ、日本のステージ、アジアのステージとその主張の組織的拠点性を明確にしていきたいものであります。

 二つ目は、東京事業の柱であります地域指導者研修会「東京セミナー」が今年で第20回を迎える節目の年となりました。国づくりへの参画意識の醸成をはかるために始めた学生事業「NEXT LEADER′S MEETING」も全国的拡がりを見せ、新しい局面に入ってきました。いわゆるイベントの領域から活動を日常化した組織的事業に脱皮しつつあり、大きな転機を迎えています。

 三つ目は、商農工連携や産官学民交流等、異分野との様々な接点を結んできた事業も、交流領域を超えた大胆な再構築をはかる時機を迎えました。時間の経過、時代の変化からくる生活環境の変質と行動様式の転換等、新たな課題が次から次へと提示されていく中にあって、私たちの事業も活動も新たな価値創造に立ち向かって新たなステージを構築していく時代を迎えたことをここに確認しておきたいと思います。

平成25年03月18日
福岡産業振興協議会
会長

小早川明徳

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