代表者挨拶

代表 小早川 明德

令和八年(2026) 新年のご挨拶

歴史への、文化への理解と評価を求められる時代、女性初の内閣総理大臣 高市早苗内閣が発足し、国の内外に向けて堂々の歩みを始めました。『働いて、働いて、。。。」も今年の流行語大賞となり、「働き方改革の“改革”」に一石を投じました。
折しも、AIの時代。経営幹部の採用傾向を見ると、「哲学専攻」を求める経営者も多く、「倫理関連職」の採用も急増中だと聞いています。“なぜ、今、哲学なのか”。米エール大学心理学部ローリー・アン・ポール教授は、『AIがもたらす予測不能な未来に、既存の価値観では対処できなくなりつつあるためだ。』(日本経済新聞2025年12月8日月曜日第1面)との見解でした。同じ1面に『中国軍機、レーダー照射』の記事が躍る現実に、AIも思考不全に陥るんではないかと思うほどの、世界の指導者の不測の行動に見る、政治哲学や国際倫理の異質性にも深い懸念を抱いたのは、私一人ではないと思いました。

ここで皆さんと、お正月にあたり、共有したい課題と価値観がありますので、身近な話題に目を転じたいと思います。
元日の朝、お会いした人に挨拶する時、私達はなんと声をかけているのでしょうか。
「おめでとうございます。今日は、風が冷たく寒くなりましたねえ。初詣は行かれましたか」。
「ほんと、午後からは、少し、日差しもあって温かくなればいいですね。初詣は、朝から三社お詣りしたんですよ。」と、気候の話から入ります。この日本人の習慣は、何を意味するのでしょうか。
この風景は、私達の生活が、農林漁業を中心に、気候に左右されながら、如何に自然と共生の中にあり、季節の移ろいに敏感であったかの証左であります。

そうです。我が国日本には、「四季」と言われる“季節の営み”があります。これに加えて、我が国は、北海道から沖縄まで南北に伸びる国土にあって、「桜前線」や「梅雨入り・梅雨明け」と言われるような、日本列島の中でも異なる気候状況に置かれています。これこそが、日本人の“多様性に富む気質”を育み、古来から異質なものを受け入れる豊かな“受容性”の遺伝子を培養してきたものと思われます。それが、“風土”という定められた地球の、限られた”地勢“が産み出し、引き継がれてきた日本の長い歴史の中に住まいする”国民の特性“となっています。極端な例としては、国内の離島の島々でさえも、動植物の亜種が散見されていることはご承知のことであります。

日本人気質には地勢風土が確かな影響を与えています。日本人を評して「曖昧さ」を指摘する人が多いのは、“島国共同体”として、多様な自然現象を中心に判断することの多い生活環境、衆知を集めその時々の輪番制で選ばれた地域共同体の長(おさ)の差配によって動いて来た主体的従属性に継承された判断の叡智として、ストライクゾーンに広さによる「曖昧さ」も、国民の他者への「思いやり」に繋がり、種を蒔き水をやり、育てた果実を食するという自然の他力的要素に左右される長期的な判断軸として醸成された結果であると考えています。

現在、我が国は、いろいろなデーターの評価や数値が悉く凋落傾向にある中にあって「世界ブランド力ランキング」では、見事"世界一"であります。私は「ブランド力」を、”文化力”と定義づけ、数値に表れない、世界の人の憧れる国、その国民性に信頼を寄せる国、心の安らぎを感じる国であると定義しました。 多様化を積極的に評価し、異質性を尊重して争わず、相手良し、社会良し、自分良しの「”三方よし”の精神」で、世界に向けて、日本文化や日本人の価値観を語っていく事で、我が国の国際社会における役割をはたしていけると思慮しています。ここにこそ、我々が願ってやまない日本復活の鍵があるのではないかと思うものであります。
向後、我が国は、世界の平和を求めて、この評価された「文化力」を、”国づくり地域づくり”の要におき、外交の切り札として、国際協力の柱に据え、産業として、経済として、積極的な交流を推進していきたいと考えています。

日本人の生命観は、自然と共生する人間の有限性、文化の不滅性、歴史の絶対性の中に、『生命の永遠性』が厳然と存在します。ここに日本人の背骨である『神道イズム』を観ることが出来ます。
人も自然も、それを織りなす環境も、生命を育み、その循環の中にある事を忘れずに今年も歩みを進めていきたいと思います。

令和八年(2026) 元旦

一般社団法人 地域企業連合会

会長 小早川 明德

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