代表者挨拶

代表 小早川 明德

令和六年(2024) 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。『3goodthingsの会』ポジティブ心理学のペンシルベニア大学のセリグマン教授によると「寝る前に1日の良いことを3つ書き留める習慣を1週間続けると半年は多幸感と抑うつ効果が得られる」というご説。-「3年間毎日続ければ、おそらく一生‘’多幸感‘’が続くはず」と作家の北康利先生のFacebook報告にありました。「心療内科」の領域を‘’医学界‘’に確立された九州大学の池見酉次郎先生がご存命であったら、この‘’心の科学‘’の実践を「我が意を得たり」と大いに推奨されたに違いないし、‘’ヒトの教育‘’で「‘’ヒト‘’は教育によって‘’人間‘’になる」と生物学的見地から喝破された全国外科学会名誉会長をお務めになられた井ノ口潔先生なら、幼少期の教育を与る先生方と共に、あのピアノのリズムに乗せて‘’教える喜び‘’を分かち合われただろうと、‘’ふと‘’思い浮かべたものでした。

今、世界を見渡し社会で起こる事象を考えた時、‘’人間‘’としての愚かさ、‘’社会‘’への無定見さ、国家指導者の哲学の欠如が目に余る毎日であります。とりわけ、世界の国々の指導者によって引き起こされる戦争や紛争、無謀な核兵器の開発、領土領域の略奪に等しい蛮行など、その悪行は、止まるところを知らない‘’征服欲‘’と‘’力の論理‘’の行使であります。‘’人権‘’も‘’国権‘’も‘’民族‘’すらも、散々(ちりじり)に踏みつぶされる現実、国際協定の逸脱や蹂躙(じゅうりん)。国連は、目に余るこれらの当事国へは、あらゆる国際協約の破棄と無効を宣言し、それらの権益を収奪し、国際社会からの孤立化を図ってはと考えます。大国の呪縛に喘ぐ、地域や民族の自立を促し、国際社会の経済産業と安全保障の‘’信義と自由‘’の回廊の「選択と再編」という『世紀の国際秩序の再構築』が実現する日も近くなるのではと確信しています。

我が国の混迷をきたしている政治においても、また、然りであります。戦後の一時期、建国以来の長い歴史の中に培われた民族的な歴史遺産のDNAによって奇跡といわれる経済的復活を果たし、世界経済をリードした日本も、ここに至って、世界の競争の中で著しく遅れと綻びを感じる時代となりました。戦後の敗戦による米国の占領政策の弊害がもろに深刻な民族意識の分断を招き、今や、全世代にわたっての‘’集団的自己喪失感‘’を抱く結果となりました。過去の歴史を否定されたまま、民族の誇りを失ってしまった日本人が、‘’グローバルスタンダード‘’、‘’アメリカンスタンダード‘’と言っては押し付けてくる米国の属国化の政策を無節操に受け入れる根無し草的国民では、望むべき何ものも見当たりません。あらゆる分野において我が国再建の努力はしていても、道義の旗を掲げることを躊躇(ためら)い、気概の回復もできない現況では、世界、とりわけ、東アジアを相手にして空回りの虚しい外交の戦いとなっているのは否めない現実であります。

凋落の一途をたどる我が国の世界ランキング。何が日本の起死回生のテーマとなりうるのか。『戦略は、現実に立脚する』。今、日本の国際貢献は“何をもってできる”というのだろうか。
世界の国際化の進展の中で、必然として認識され育まれてきた「多文化共生・異文化の尊重」の時代。そんな時代の進歩の中に、科学技術の進歩と併せ、地域国家の‘’異質価値‘’が『人間性の豊かさの本質的象徴』として探し求められる時代となりました。その国際人の視野の広がりが「日本の文化価値の発見」に繋がり世界の教養有る識者に求められる時代となったのです。
世界が注目する「日本の文化」。無宗教という国民が多い中で、圧倒的な国民的な祭事に見る豊穣豊漁にちなんだ神社と地域の融合の祭り、健康・合格・結婚・出産・就職・安全・繁栄と、あらゆる生活の局面に「‘’無意識‘’に神の存在を求める」神道文化。海外からは‘’スピリチュアル‘’と言われる由縁であろうと考えます。

そこで、我が国の「文化資産」として何があるのかを考えてみたい。陶芸・彫刻・和歌・俳句の芸術文化、柔道・剣道・空手、相撲、あるいは、茶道・華道・香道・書道と言われる、所謂、‘’道(みち)文化‘’、歌舞伎・能・狂言などの舞台文化、着物・和食・畳・和紙・下駄草履などの生活文化があります。 それでは、それらの‘’和‘’の文化価値を世界に貢献する存在にするには如何にするべきか。当然、我が国の経済的発展にも繋いでいける『日本文化の産業化』にその答えを見出していきたいと考えます。

政府がインバウンドによる「観光立国」の政策を掲げる今日にあってクローズアップされるもの、それは、我が国が圧倒的実績で世界一の数を誇る‘’100年企業‘’の存在、所謂、「老舗(しにせ)経営」であります。「老舗」は、日本文化を経営面で体現した日常生活に直結する「文化資産」でもあるのです。昨今の株主への企業利益の短期還元で 経営者がじっくり腰を据えて‘’事業と人材を育て、顧客と社会へ利益の環流を計る‘’『本来の経営者の役割』の視点が失われがちな、歪(いびつ)な近視眼的経営。この悪弊に疑念を抱く世界の多くの経済界の‘'新しい資本主義‘’の期待に応えるためにも、我が国の文化資産たる「老舗経営」が、地球上の恵みの雨となり、この大地の地下水を潤し脈々と浸透し拡がりを見せていく、世界が熱い視線で注目する国際的貢献が可能な施策、我が国の「経営文化の輸出」を夢見て新年のご挨拶といたします。

令和六年(2024) 元旦

一般社団法人 地域企業連合会

会長 小早川 明德

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